秘密警察-Secret Police- - 37/39

秘密警察 ーSecret Policeー

「ねーねー、坂崎!誰が一番早くに着くか競争しようよ!」

「お前らだと俺に負けるから競争せんでも分かるわ」

「じゃあ俺と正将、桜井と太郎の二人一組になって競争する!」

「面倒くさい。おら、行くぞ」

「あっ、ちょっと待ってよ坂崎!」

「変な提案するんじゃねーよ高見沢~」

「だーって‥」

ここら辺じゃ一番高いビルで時間になるまでのんびりしていたが、これから仕事だ。

真夜中のこの暗い世界で生きている俺たち。闇が支配している夜を活かして活動をこなしてきてきた俺たち。だが俺たちはこの日本という国民の光にならなければいけない警察。

例えそれが誰にも知られない存在だとしても、俺たちは陰ながらこの日本を支えていく。

行くぞと合図をかけたあと、俺に着いて来る四人の後輩。ビルから飛び降りた瞬間、遊びたがっていた高見沢は、全面ガラス張りになっているこのビルをシュルーーーッと滑りながら途中まで落ちていく。それを見ていた鈴木も、高見沢を真似しては遊んでいるが。

そして隣にある高級なホテルの敷地内にバッと移動していると、鈴木が高見沢にしがみ付いては満面な笑みで「高見沢さん、アレやって!」とお願いしていた。

「えー!またやんのぉ?」

「いいじゃん!僕、アレ楽しくて好きなんだもん!」

「失敗するとびしょ濡れになるから嫌なんだけどなぁ~‥もう」

「失敗しちゃダメー!」

「しょーがねーなぁ。‥‥よっ!」

鈴木が可愛いから結局は頼まれたことはやっちまう高見沢。二人を見ていると、桜井と吉田も「高見沢が失敗する方に賭けるか」なんて話し合っているのが聞こえてくる。

そしてホテルの敷地内にあるプールの真上まで来ると、高見沢は進行方向に向けてシュパッとワイヤーを放ってから、向こう側にある壁に固定させたのを確認すると、鈴木に向かって「来い!」と合図を送った。

それに素直に従う鈴木が、しがみ付いていた高見沢から一旦離れたかと思いきや、もう一度体勢を立て直して高見沢に肩車して貰う形に変わる。

「よっしゃあー!落ちるなよ正将!」

「高見沢さんこそ失敗しないでよーーっ!」

すると高見沢は、鈴木を肩車したままプールの水面ギリギリまで近付いたかと思いきや、そのまま足の裏だけを上手く使っては、まるで水上スキーでもしているかのような感覚で水を撥ねらせて遊んでいる。

鈴木の言っていたアレとはこのこと。デカいプールが見えると、高見沢にすぐコレをやれって言いながらいつもしがみ付いては駄々をこねているからな。だから高見沢も鈴木のことを楽しませようと、よくやってしまう。

ま、なんだかんだで二人して楽しそうにしてるから問題ないが。

バシャアアアァッと水しぶきを大きくあげては二人で「ヒャッホーーー!!」なんて言いながら遊んでいるが、高見沢がたまーに失敗するせいで二人してプールん中に突っ込んでずぶ濡れになる時があるからな。

しかし今回は失敗はなさそうだ。

プールの端まで来たので高見沢が最後に勢い良く腕に力をつけると、そのまま二人してヒョーイと空中に放り出されては俺たちが居る方へと戻ってきてしまった。失敗しなかったせいで、桜井も吉田もチッと舌打ちを打っているのが聞こえてきたが。

「あーー楽しかった~!」

「今度は正将が下やってみろよ!いつも俺ばっかりだし!」

「えーーー!」

「えーじゃねぇ!」

二人のやり取りを見ていた桜井と吉田だったが、吉田も二人を見て羨ましく思ったのか、桜井に対して「俺もアレやって!」なんて頼んでいた。

コイツらもコイツらで仲良くなりやがったな。先輩二人に対してはもうほぼタメ口きくまでになってきてるしで。まだ俺には敬語を使っているが、前に比べるとだいぶ喋り方も崩れてきたからもう慣れただろうな。

アレやってと頼まれた桜井が、眉間にシワを寄せながら若干面倒くさそうにしているけど「しょーがねーな~」と独り言を呟いた直後、俺たちよりも先にビルの屋上に一回着地した彼は、最大限の力を発揮したジャンプをしてみせた。

そして空中にいた吉田の手をキャッチすれば、桜井の持つ力全てを腕に込めたからなのか、吉田はそのままビューーンと空高くまで投げ飛ばされる。そりゃーもう、かなーーりの高さまで飛ばされてるけどな。

だが吉田にとってはただ楽しいだけのお遊び。俺たちの真上からは、吉田の気持ちよさそうな声が届く。

「フオオオォオォーーッ!!無料の絶叫アトラクショーーーン!!」

‥なんて声がな。

クルクル体に回転を利かせながら楽しそうに笑っている吉田だったが、次第に上へ行く力もなくなり、そして俺たちのいる場所ちょーどに落ちてくる。そこが建物の上なら自力で着地するが、落ちた先が空中の場合は桜井がもう一度吉田の手を取ってから目の前の建物へと放り投げるのがお約束。今回は後者だった。

「やっぱきもちーーー!!桜井さん、また明日もやってよ!」

「あー?」

「いいじゃん!コレすっげー楽しいんだから!」

「ったく‥分かったよ」

「イェーイ!!」

こんなことをして楽しんでいるバカな四人だが、これでも俺のチームの一員。

あれから三ヶ月ほど経った今、俺が秘密警察の最高責任者になってから組織は真っ当なものと変貌していった。そりゃあもう、素晴らしい人材ばっかよ。

あの時まだ話せなかったコイツら四人の体のことも、あの仕事が終わった直後にちゃんと話しをしておいた。今もまだコイツらの体は月一の薬がないと、どうなるか分からない状態なのだが、いずれは元の体に戻してやりたい。

あの施設から引き抜いてきた優秀な奴らを使い、今は完全に元に戻る薬を作って貰っている最中だ。

そして俺たちがこれからやろうとしている仕事。それは、あの施設によって体を変えられてしまった人たちを追うという仕事だ。あの事件以来、そんな感じで政府を狙おうとする奴らが結構出てきてるので、それを阻止するのが俺たちの役目。

‥と、目的地はもうすぐそこだな。

ピョンピョン飛び回っていた俺たちは、指示された場所まで降り立ってみせた。‥‥が。

「えっ!ちょっと待って!坂崎止まらないでよ!!‥わあぁ!?」

「ぶわっ!?高見沢さっ‥!?」

「おいバカ!二人して急に止まるなっ‥ぐへっ!!」

「うわあぁあ!?なんで止まるの‥いでっ!?」

着地した俺の後ろでは、見事に高見沢鈴木桜井吉田の順番で玉突き事故を起こしていやがった。後ろから突っ込んできた三人のせいで、重さと勢いに耐えられなくなった高見沢が前に倒れると、四人全員でドドドドッと雪崩を起こしていた。‥‥やっぱバカだわ。

「あっはははは!なーにやってるんすか、四人揃って~!」

「う、うるせーぞ棚瀬‥!」

「見てて飽きさせないっすねぇ」

この様子をどこかの防犯カメラかなんかで見ていた棚瀬が、無線で今の状況を見て笑っている声が聞こえてくる。笑っちまうだろ、こんなん。しゃーないわ。

「おい、起きろお前ら!すぐそこに犯人が居るんだから!」

「わ、分かったよ!」

「ほら、起きた起きたっ」

「いててて‥」

「もー、高見沢さんのバカ~‥!」

慌てて起き上がった四人が俺の両端に立っては突撃する準備が整えば、無線で棚瀬の指示が入り、どこから攻め込むのかも確認出来た。

「という訳で、皆さん頑張ってくださ~い!」

「いくぞ、おめーら!躊躇すんな、抵抗してきた奴は片っ端からぶっ倒していけ!!」

「あいよー!」

「りょーかいっ」

「はーい!」

「分かりました!」

バッと五人揃ってこの場所から飛び降りれば、仕事の開始。

じゃ、ちょっくら犯人捕まえに行ってくるわ。

終。

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