MPⅡ 思い出・その後編 - 10/20

二人の王子様編(語りはサクライ王子)

 

まだまだ俺が幼い頃。もちろんタカミザワと出会うずっとずっと前の事。

 

そして、まだ俺に両親が居た頃‥

知っての通り、俺の両親は俺が幼くして亡くしている。だから俺はサカザキ家にお世話になり、王子にもなれた‥って所だが、何故俺が王子になれたか。何故両親は死んだかの話は教えていなかったよね。

 

教えてあげる。

何故俺がこの国の王子になれたのか。何故俺は偽りの王子を続けていたのかを。

 

 

 

「お父さん、お母さんっ。今日はすぐ戻ってくるの?」

 

俺の両親は、このサカザキ家に仕える者達の内の二人だった。

 

父さんは使用人。母さんは家政婦という立場だったけれど、王族に仕えるだけあって実家はお互いに割と裕福なんだコレが。

けれど、父さんと母さんはこのサカザキ家の城に住み込みで働いていた為、俺もここの城に半分住んでる形にはなっていた。

ここに居る時もあれば、叔父さん達の所に居る時も‥様々。

 

そんな俺もこのサカザキ家に仕える使用人になるんだなーとは幼いながらに自覚はしていた。別にそれが当たり前だったからこの道が嫌という訳ではなかったし、両親の仕事を誇りにさえ思っていたからな。

そして、俺と時を同じくして産まれたこの城の王子様。

 

それが俺の親友のサカザキ。

 

歳も一緒だという事もあり、赤ちゃんの頃からずっと遊んでいたらしい。あんまり記憶はないけれど、物心ついた時からサカザキは隣に居るもんだとさえ感じていた。

わんぱくな坊や、というのが似合う程活発的で、大人を困らせる事が得意な彼の相手をして欲しいと、国王様から直々に押し付けられた感じで俺はサカザキとほぼ毎日遊んでいた気がする。

 

まぁ、楽しかったからそれはそれで良かったんだけどさ。確かにサカザキと遊んでるとちょっと疲れる所はあった。

王子様なだけに、これがまた我が儘なんだなと。俺はその頃はサカザキに逆らう事なんて出来なかった為、彼の言う事を聞きながら後ろから付いて回ってたといった方が正しいかもしれんが。

だけど楽しかったのには変わりないからいいんだけどね。

 

アイツも俺も海が大好きで、この広い海を二人きりで貸し切ってよく遊んでたな。これがまた気持ちよかったんだよ。

こんな場所でいつまでも遊べるなんて俺は凄く恵まれてる。そう感じていたし、大人になれば俺はサカザキの下で働くんだなという実感も勿論あったけど、やっぱりそれが嫌だとは思わなかった。

 

コイツの下で彼を支えられるなら、それこそこの上ない幸運と、選ばれし者だとさえ感じていた。

俺はサカザキが大好きだったし、サカザキの方も俺を気に入ってくれてたみたい。だから毎日朝から俺の所へ来ては満面な笑顔で「あーそーぼっ!」と呼びに来てくれてたんだろう。

 

「お父さんとお母さんはね、今日ちょっと海の方へお出掛けするんだ。他のみんなとゆっくりお休みしてくるから、マサルはいい子で待っててくれないか?」

「お仕事じゃないの?」

「えぇ。少し遊んでくるだけだから、すぐ戻ってくるね?」

「うん!分かった。いつもお父さんとお母さんお仕事頑張ってるもんね!マサルはコウノスケ様と遊んでる!」

「偉いなお前は。いつかきっとマサルはコウノスケ様の下で働けるような立派な大人になるぞ」

「なれるかなぁ?」

「貴方ならなれるに違いない。もう少し大きくなったら、貴方もここで色んな事を学んでいきましょう?お母さんもお父さんも全部教えてあげる」

「うんっ!」

 

それから両親は俺に向かって笑顔で「流石だ、マサル」と言ってくれて、そのまま港まで三人仲良く手を繋ぎながら俺は両親を見送りに行った。そして、二人が嬉しそうに船へ乗り込んで行ったその後ろ姿は今でも忘れない。

 

今思えば、あれはデートだったのかもしれないな。

いつものようにまたすぐ帰って来ると信じていた。それが当たり前なんだから、何も疑問など持たないで俺はその日サカザキと遊んでいるだけ。

 

 

‥になる筈だった。

 

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