MPⅡ 思い出・その後編 - 13/20

二人の王子様4

 

我が儘に育ってきた王子様と真面目に生きてきた王子様。

 

正反対の俺達だけれど、この正反対の性格だからこそ長年一緒に居ても飽きなかったコツなのかもしれない。

だって、俺は途中からここの王子様になったから「誰にも迷惑かけたくない。見下したくない。優しくありたい」、これだけを胸に掲げて生きてきたようなもんだし。

 

そうしたらいつの間にか俺は周りから「紳士で男らしい王子様」という認識をされていた。一方サカザキは14、5歳頃から女遊びも激しくなり始め、気に入った女や近寄ってきた女はことごとく喰ってた気がする。

それを見て俺は「大丈夫なのかコイツ?」とは常に思っていたさ。好き勝手やって、女遊びも激しくて‥こんな奴が時期王位?と疑問に思うのも不思議じゃないだろ?

 

自分に王位がないのも、その頃かもう少し下の時くらいに気付いた気がする。

 

誰かが言ってた訳ではないけれど、陛下がサカザキだけに向かって常々「お前が王になったら」「お前の将来の為だ」と言っていれば‥ね。流石に気付くよ。

そこで「あぁ、俺には王になる権利はないんだなぁ」と、ぼんやり思ったかな。仕方がない事だけれどね。

 

だからと言って、サカザキを嫌いになる訳じゃないし。俺は最初からこれから先の人生に覚悟を持っていたから、これっぽっちで悔しいなんて考えていたらやっていけないからさ。

まぁ、陛下が遊んでばかりいるサカザキより俺の方に王位を与えたいなんてボヤいていた時は嬉しいな、とは感じたけれど。

 

認めて貰えてるんだな、と実感は出来ただけでもだいぶ満足だった。

お互いに勉強や稽古やらで忙しくなっていたその頃、ほとんどサカザキと海で遊ぶ事はなくなってしまった。たまに海辺で歩きながらのんびり会話したり、海上パーティーで船に乗り込んだりするけど‥

 

うん、本音を言うとちょっと寂しかったのかもな。

だってさ、あんだけ俺に対して酷い事してきたのに、飽きたらもう遊ばなーいって。少しは俺に付き合えよ、とは言い出せなかったのは何でだったんだろう。

サカザキの存在がデカすぎたからなのかな‥

 

「よぉサクライ。お前どーした、そんなシケた面して。お前ももっと弾けてみろよぉ」

「‥‥。サカザキはさ、何でそんなに陽気でいられるの?」

「え?だって、人生楽しまなきゃもったいないでしょ?俺も勿論モテるけど、サクライだってモテるんだから一人や二人くらいとっ捕まえてみろよ」

「別に俺はいいよ。心から好きになった相手以外とは何もしたくない」

 

この返答にサカザキは「真面目だねぇ」と呟く。俺からすれば、お前はどうしてそんなに遊んでいられるんだ?と問いたいが。

仮に俺が遊びたいとしよう。だが俺は偽りの王子。サカザキみたいに本物の王族ではない。こんな偽りの王子が周りも気にせずやりたい放題、威張り散らして女と豪遊‥なんての嫌に決まってるだろ?

 

お世話になってる人達に迷惑はかけないように生きていくのが普通。感謝を忘れない。

 

それが俺にとっての普通だった。だから俺は自分がおかしいとは思った事がないし、サカザキを否定するつもりはない。だけど心の奥底では彼が羨ましかったのかもしれない。

俺の生き方はどちらかといえば窮屈だし、人一倍気を遣っているせいで、疲れる事のが多い。

 

けれど、これが俺に与えられた生き方だと。俺は俺のやり方でサカザキとは違う魅力を持った王子になればいい、偽りでも人に好かれるような王子様でありたい。

そう願っていた事は未だ誰にも口にした事がない。

 

「サカザキはその内痛い目に遭えばいいよ」

「もう何回か遭ってるよ。この前もほっぺブタれたし」

「いい加減にしろよな。女で遊ぶのも程々に‥」

「モテるからしょーがないじゃん。まだまだ童貞くんのサクライにはこの楽しさが分からないかぁー?」

「うるせぇな。不真面目に生きていくより真面目に生きて人の信頼を得た方がいい」

「今しか遊べないんだよ?」

「俺はお前とは違って遊べないの」

「なら誰か一人紹介しようか?遊ばなくても、デートくらいする時間あるでしょ?お前、この間の舞踏会でペア組んでた娘いるじゃん?あの娘がお前の事‥」

「興味ないと言ってるだろ。俺は俺が決めた人とデートもするし、キスもする。‥遊びじゃないんだ」

「‥ふぅん。まぁ、俺はいいけどね。なーんかいつの間にか紳士で真面目なマサルくんに育ってんなぁ」

「‥‥、」

 

紳士で真面目‥か。

コイツも本読んでる時は真剣な目付きしてて格好いいんだけどね。いつからこんなに遊ぶようになっちゃって。

 

そうだね。この頃からもう俺達は紳士と遊び好きな王子様、と呼ばれ始めたのは。

このままの関係。ずっと変わる事はないと思っていた。

 

タカミザワに出逢うまでは。

 

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