人魚 際どいシリーズ。もう15~18禁くらいだ笑えない
「つまんないなー‥」
僕がぼーっと海の中を彷徨っていると、隣にいたタロウが「どうしたの?」と聞いてきてくれた。だけど僕は返事をする気にもなれなくて、溜め息をついてしまう。そんな僕を見たタロウが更に僕より大きな溜め息をついて呆れている様子。
「もー、タカミーってば今日は雨なんだから人間の王子様達だって荒れた海には来たくないに決まってるでしょ?また明日になれば会えるって」
「‥うん」
「はぁ‥、先に帰ってるよ?」
そう言うタロウは、体の向きを逆にして来た道を戻って行ってしまった。僕を一人にしてくれようと気遣ってくれたのかな?悪い事しちゃったな‥
別にサクライとサカザキに会えないからこんな風になってる訳じゃ‥‥ないとは言えない。雨で二人が外に出たがらないのは知ってるし、こんなのはよくある事だもん。
外の世界に出たって景色は悪いし、空は暗いし、波が強すぎて流されてしまう。
‥それに、ムリして二人を海に連れ出して危ない目に合ったら僕の責任だし、サクライの方は特にこういう海の状況を一番嫌う。幼い頃の記憶が蘇るからなんだって。当たり前だよね‥
フラフラ泳いでいると、背中から「王子様‥」と誰かに呼ばれる声が届いてきたので、振り返ってみるとそこには暗い大きなほら穴があった。確かにあそこから声がしたような気がする‥
そちらに近付いてみると、「おいで」と言われたから恐る恐る中に入ってみれば、奥の方で誰かが座っているのが確認出来た。だけど顔が暗くて見えない。
「‥誰?」
「王子様‥貴方の本当の願いは何?」
「願い‥?なんでそんな事を貴方に言わないといけないの」
「‥‥。貴方の心は見事な程傷付いている。その願っても叶わない想いを少しばかり叶えてさしあげましょう」
「な、何を言ってるの‥?」
あまりにも不気味だった為、ここから逃げ出そうとしたけれど、その誰かが僕に向かって何かを仕掛けてくる。その瞬間、僕を包み込む大きな泡の中に体がおさまってしまっていたのだった。
慌てて出ようとしたけれど、その泡は何故か割れる事はなくて、その中でジタバタと動いているしかなかった。しかも月の最後でもないのに尾ひれがなくなっていき、人間の脚が現れてしまっていた。
そんな人間の姿になってしまった僕を見て嬉しそうにしながら「やはり‥王子様は人間になれるのですね‥」と言ってくる。な、なんで僕が人間になれる事を知ってるの‥?
「ガボッ‥!」
待って‥、息が‥‥続かない‥!
極限まで息を止めていると、頭がクラッとしてきて、次の瞬間には目の前は真っ暗になっていた。
「思う存分楽しんで下さいね、‥人魚の王子様。貴方のその決して叶う事はない願い‥大きく傷付いた心、とても美味なんですよ。‥またお会いしましょうね、王子様」
「ハッ‥んっ、」
目が覚めると、どういう訳かサクライが目の前にいる。薄暗かったけどよく見渡せば、ここはサクライの部屋だ。あれ?今日は人間になれる日でもないのに‥なんで?陸にあがった覚えもないし、雨だから二人共外に出てこようとはしない筈でしょ‥?
「どうした?そんな顔して‥」
「だって、今日は人間になれる日じゃないのに‥」
あ‥れ?どうして声が‥?
「‥今更何言ってんだお前?もうお前は人間になっただろ?俺達と一緒に居たいって言って、陸にいる方を選んだじゃないか」
「僕が‥‥陸を、選んだ‥?」
「その僕ってのもやめろって言ってるだろ?折角女の身体が手に入ったのに‥雰囲気ぶち壊さないでくれよ。な?ソフィア」
「ソ‥フィア?‥女の‥身体‥?」
何を言ってるの‥サクライ‥?
ちょっと待って‥!それより、僕はどうしてベッドの上に‥?と言うか、サクライ‥‥上、着てないじゃん‥!
え、このシチュエーションって‥まさか‥
それを理解した時、一瞬で顔が赤面していくのが自分でも分かった。サクライの顔が見れなくて、フッと逸らしてしまえば、僕の身体を隠しているのは絡まったベッドのシーツ一枚だという事が判明した。
それに‥‥この身体‥‥
「もう何回も愛し合ってるのにそんなに真っ赤にしなくてもいいだろ?‥やべ、でも可愛い‥。愛してるよ、ソフィア‥」
「サク、ライ‥?」
どういう事?と聞こうとしたけれど、その口は彼の唇で塞がれてしまい、頭が麻痺してしまいそうな程の優しくて温かい口付けだった‥。
僕が二人に力を与える為に、軽く唇を落とす程度なんかじゃなく、本当に愛し合っていなければこんなキス出来ないくらい‥心が締め付けられるものだった。
クチュ‥と、舌で割って僕の口内に侵入してくるサクライの舌の使い方に痺れそうになってしまう。丁寧に隅から隅まで舐め上げてくる滑らかな舌に、それだけで幸せな気持ちになれる。あぁ‥どうか夢なら覚めないで欲しい‥、そう思ってしまう程嬉しかった。
決して‥叶う事はないと思ってた僕の切なくて‥残酷な願い‥。
彼の首に腕を回して、僕はサクライの口付けを受け止めた。
ゴソゴソと僕の身体を弄(まさぐ)る彼の優しい手つきに敏感に反応してしまう素直な身体。被っていた白いシーツの上からいやらしい動きをした手を思わず払いのけようと反射的に、彼の首に回していた腕を離して、触ってくるその手を掴み「ダメ‥」と言ってみるが、「好きな癖に‥」と言われてしまえばお終いだ。
触れていない箇所なんてないんじゃないかなって程サクライに遊ばれ、何度も快楽に堕ちてしまうこんな姿‥。もう何も考えられない‥
「やぁあ‥!アッ、ん‥」
「もっと声を聞かせて‥。人間の姿になったお前の声が聞けて嬉しいよ。もうどこにもいかないで‥、俺だけを見ていてくれ‥」
「サク‥ライッ‥、やっ‥あッ‥。好きだよ‥!愛してる‥からっ‥」
「サカザキよりも‥?」
「‥‥う、ん‥!ハッ‥ぅ、お願い、します‥早く‥‥サクライ‥のが‥」
「いやらしい人魚だな‥。いいよ、くれてやるよ。何度だってお前を愛してるよッ‥!」
僕の脚を掴み、お互いを求めあい、堕ちていくんだな‥と、疲れた身体と上手く動いてくれない頭が解ってくれた時だった。
また目の前が真っ暗になり、僕が気付いた時にはベッドの中。あ、夢じゃなかったんだ‥と思い、薄暗い部屋を眺めていれば、さっきとは何かが違っている。
あ‥‥れ‥?
隣で背を向けて寝ているのは‥誰?
フワッとした茶色の毛並みに、少し小さな体格をした彼は‥僕の知っている中じゃ一人しかいない。
サカザキ‥?
「あ‥」
背中には、血が滲んだ痕のようなものが幾つかあった。どうしたんだろう?と思い、彼の背中にそっと手を伸ばして触れてみれば、サカザキの身体がピクッと反応を示した。
慌てて手を引っ込めてしまえば、そのまま彼の背中をじっと見つめた。
「起きてたのか‥」
「う、うん‥」
「ったく、いてーよ。こんなに爪立てられたの‥久々だしな。激しすぎた?」
「え‥?よ、よく覚えてない‥」
「だろうと思った。お前、気絶しやがったもん‥」
今まで向こう側に顔を向けていたサカザキが、クルッとこちらに体の向きを変えれば、柔らかいちょっと悪戯じみた笑みに思わず胸がドキンと鳴ってしまった。
「ご、ごめん‥痛かったよね‥?」
「別にー。だから仕返しに印つけちゃった」
「印‥?」
グイと引っ張られ、サカザキの腕の中にすっぽりおさまってしまった僕のうなじの辺りに指を這わせ、「紅いマークね」と子供っぽい口調で楽しそうに言ってきた。それに気付けば、思わず「あ‥」と言葉が出てきてしまい、また顔が赤くなってしまう。
「サクライには渡さないから‥」
「サカ、ザキ‥」
「ん?」
「‥愛してる」
「あぁ‥。俺もお前の事が大切だ。ソフィア‥」
やっぱりこのソフィアって名前は‥サカザキに呼ばれた方がしっくりくる。
大切って‥言ってくれた‥
嬉しすぎるよ‥もう。
「泣くなよ。さっきは苛めすぎたから今からは優しくしてやるよ‥」
「いい‥。優しくしないで‥。壊して欲しい。サカザキの手で‥壊して‥」
「ソフィア‥。分かったよ。その代わり、容赦しねぇからな」
「‥うん」
サカザキが覆いかぶさってくると、さっきのサクライとは違った激しい口付け。噛み付くように‥舌を絡ませ、吸い上げてくる熱い口付け。
あぁ‥‥
幸せなのに‥苦しい。
僕は‥この二人の王子様に、一生翻弄され続けながら‥生きていかないとダメなんだね‥‥
それでも、いいかな‥
「タカミーってば!」
「‥‥!?」
パッと目が覚めると、ここは海の中。目の前で心配そうにしてるのはタロウとタダスケだった。
「もー、帰りが遅いから心配したんだよー!」
「捜していたらこんな所で寝ているなんて‥。全く、いつまで経ってもお子様ですね」
「‥‥ご、ごめん。ねぇ、ここにほら穴なかった?」
「ほら穴?」
さっきまであった筈のほら穴が僕が目覚めた時にはなくなっていた。そして、誰もか知らない‥あれは僕達の仲間?それとも違う種類の妖怪?‥それとも。
「もう、寝ぼけてないで帰るよ!みんな心配してるんだから」
「う、うん‥そうだね」
あれ‥?
僕、なんの夢を見ていたんだっけ‥?
思い出したくても思い出せない。‥寧ろ思い出しちゃいけない気がする。
幸せな気分だった気もするけど、その反面辛くて仕方なかったような‥。
ー今まで見ていた夢は記憶の中に閉じ込めておきましょうー
*
ふぎゃあっ!
勢いで書いてしまったではないか(゚o゚;;
もうこれアウトですよね、はい知ってまーす!
王子様達が愛し合うとか‥‥
あ、なんか変な奴出てきましたが、これからの王子様達の間に何か色々あるかもしれない奴ですよ、ふふ(^^)
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