秘密警察-Secret Police- - 24/39

SP22

四人を連れて中へと入っていけば、そこには目を疑いたくなるような光景がいくつも広がっていた。

俺と棚瀬はその光景を目を見開きながら眺めていると、四人を連れ去った二人が「こっちだ、付いて来い」と言ってくるので俺も棚瀬も黙って付いて行くことした。それにしても‥なんだここは。ヤバいどころじゃねーぞ。

口では説明し難い光景というか‥

「いつか人類がバイオハザードみたいになりそうだな」

「あー‥ゲームの?」

「あぁ。ここにいると気が狂ってくる。‥早く出たい」

「俺もです。人間が人間扱いされていないこの状況を見れば、そりゃ早く出たくても仕方ないっすよ」

「耳が‥痛くなる」

嫌な声が四方八方から聞こえてくる。

耐えられるか?ここに長時間居て、耐えられる自信があるか?流石の俺でもこんな場所はキツすぎる。

暫く歩いて案内された場所は、ここで働いてる人の中でもごく一部だけにしか入れないような場所だという。そんな怪しい扉が開き、向こう側に俺たちは吸い込まれていく。

危険そうなもんが沢山‥

そして辿り着いた部屋までやってこれば、そこには何人かの白衣を着た男や女が立っていた。そんな白衣野郎たちは、俺と棚瀬が居ることにものすげービックリしたような顔してはこっちを見てきたのが分かる。

しかし、相手がそんなに驚いてようがどーでもいい。つかつかと俺はソイツらの目の前までやってこれば、「おいっ!!」と大声を出してみせた。するとまたビックリしている。

「テメェらか!?テメェらが人体実験したせいで今とんでもないことになってるんだぞ!?あの三人をどうしてあんなことにしたんだ!?」

「そんなの秘密警察側から頼んできたことじゃないか‥!」

「じゃあ尚更実験に失敗しちゃいけねーのくらい分かってるよな!?‥お前ら全員あとで覚えとけよ」

「まだあの時は技術が足りなかったんだ!今はもうほぼ完璧といっていい程に‥」

「ウソをつくな」

ギッと相手を睨み付ければ、相手は怯んだようで速攻で「悪かった‥」と謝ってきた。くだらん。

「だが成功率は80~90%にあがったのは確かだ!今からその四人を実験の対象にして欲しいって秘密警察側から連絡があった。なのになんでお前はピンピンしてる癖にここへ来たっ?」

「来ちゃ悪かったか?俺はコイツらのリーダーだ。黙って勝手に連れ去られるところを見てるだけで済むとでも?」

「お前がリーダーか。なら話しが早い。この四人、まだ息があるらしいじゃないか」

「あぁ。だから、さっき成功率が80~90と言ってたな?いいか、これは命令だ。コイツら四人を実験台として使いたけりゃ、100%以上の結果を出せ。分かったか?」

「‥つまりは成功させろと?」

「言わなくても分かるだろ」

「‥‥分かった。出来るだけのことはする」

出来るだけじゃダメなんだが。そう言いそうになったが、相手が相手だしな。コイツら四人を復活させてくれる可能性もある奴だからこれ以上は口出ししない方がいい‥か。

口を開くのをやめると、今俺と喋っていた奴の隣でもう一人の男が俺をさっきからずっと見てくる。なんなんだよ、気持ち悪りぃな。

「あ?」と言いながらソイツに視線を向けるも、一瞬ビクッとなってビビっていたようだ。俺の目付きは最悪に怖いからしゃーないけどさ。

「んだよ、さっきからジロジロ見てきやがって」

「い、いや‥。なんだか見覚えがあるような顔だなと‥」

ん?それってまさか‥

着けていたマスクをズラし、顔を晒してみせると相手は「あっ‥」と言いたげな驚いた表情をさせていた。

「もしかして、“坂崎”とかいう男じゃないだろうな?‥‥こんな顔した」

「そ、そうだ!そんな顔だった!‥お前、もしやあの時の‥?」

「‥いや、違う。ソイツは俺じゃねぇ」

「え?でも顔が‥」

ややこしいから「双子の弟だ」と、テキトーなウソをついていると後ろで棚瀬が吹き出して笑っていたが。だが相手は納得したような反応で「だから似てるのか‥」とかなんか呟いている。

単純バカでよろしい。

マスクを着け直し、本題に戻そうとすると「じゃあ、その四人を預かる」と先にそっち側から言ってきた。なので、俺は四人をこの白衣集団に委ねてみせる。

この部屋から出ていけと言われたので、俺と棚瀬と他の二人はここから出ていくだけ。四人との別れ際に、一瞬ずつそれぞれの顔を見ては脳裏に焼き付けた。もし失敗すれば、コイツらとは‥これで最後になるかもしれねぇから。

いや、失敗なんかさせないけど。

「なんだ、あの生意気な態度の男」

「ホントに100%の成功なんてあり得るのか?あんなこと言っちまってたけどさ、お前」

「バーカ。あり得るわけないだろ、今の段階で。でも限りなく近いのもホントなんだから、やれるだけことはやるしかない」

「それと同時に死亡率も高い実験ってこと、あの男に言わなくても良かったのか?俺は知らんぞ」

「あんな態度で言ってこられちゃこっちだってプライドってもんがあるんだ。‥どうなっても俺たちは俺たちの仕事を全うするだけだからな」

。。。

「‥‥。」

「どうしたんですか、坂さん?」

「嫌な奴らだ。人間を人間扱いしてない目をしてやがる」

「それって犯人に対する坂さんも同じじゃ‥」

「あぁっ?俺とアイツらを一緒にすんなっ!!」

そんな俺の態度を見て、棚瀬がヘラヘラ笑っていやがる。ったく、コイツは‥!

「あー、そうだ。棚瀬、もうこっちは準備整ってるようだぜ」

「まだ早いと思うんだけどな~‥。これから実験が行われるんでしょ?何時間かかるかも不明なのに」

「まぁいいじゃねーか。取り敢えず待機して貰っておくから」

「んー、そうっすね。じゃあ待機ってことで」

万一に備えての準備を完了。

さて、これからがどうなってくるかだ。アイツら四人がちゃんとした体で俺の下へと帰ってきてくれるかどうか‥

‥‥いや。信じない方がいい。安易に信じたら、また厄介なことになりそうだからな。俺が誰かを信じようとすると、必ず何かしら起きる現象はやめてくれないかな。

ハァ‥と溜め息をついてみせると、棚瀬が肩をポンポンしてきては「だーいじょうぶっすよ」なんて励ましてくれる。何を根拠に。

するとポケットに入れてあるスマホがヴーヴーと鳴り始めたので、電話か?と思いながら取り出してみせると、かかってきたのは親父からだった。いつもよりかは早いじゃねーか。

棚瀬を連れて、他の二人には聞こえない場所まで移動してから電話に出てみると、相変わらずの声で「あ、幸ちゃーん」と、またその呼び方をしてきやがる。

「やめろっつってんだろ!?」

「いいじゃん、親子なんだからっ。あ、頼まれたことやっておいたよ~」

「あぁ‥サンキュー。もう上は信用ならん。俺も我慢の限界だ」

「幸ちゃんのやり易いようにしておいたから、あとは自分でなんとかあの組織を綺麗にしてやってね。じゃ、次の仕事があるからバイバ‥‥あ、うん、ちょっと待ってよ‥息子と今話してるから邪魔しないで‥っ!」

「‥‥。」

本物のSPか秘書官に次の仕事のことで急かされてるのだろうか。俺は優しいのでブツっと一方的に電話を切ってやった。

「で、どうだったんです?」

「上は全員クビ。これで俺たちがやり易いように動けるし、綺麗さっぱり掃除出来た」

「じゃ、一緒に来てたあの二人も用済みって訳ですね」

「ったりめーだ。‥こんな腐った組織の中で俺はやっていけん。これでいいんだ」

「さっすが総理の息子は違いますね、やることが」

そんな会話をしながらさっきの場所へと戻ろうとした最中、なんだか白衣を着た連中がバタバタと慌てているようだった。

薬の番号かなんかを伝え合っては「全部なくなってる!!」などとホントに焦ってるように見えた。‥あぁ、もしかしてさっきのアレか。

殺し屋が持っていたあの袋の中身だ。どこにあって、誰が持っているのかを俺たち二人は知っているが、警察とはいえこんな施設に協力する程お人好しじゃない。俺も棚瀬もそんな慌ててるここの奴らを見ては心の中でバカにして笑っている性格だからな。

‥むしろ殺し屋が全部持っていって正解だったのかもしれん。犠牲者が減るからな。

「殺し屋の坂さん、昔はここに拘束されてたんすね」

「調べた時にその情報は浮上してこなかったな‥そういや」

またいつか会った時、あの俺はどう不死身になっているのだろうか。

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