秘密警察-Secret Police- - 27/39

SP25

「おい棚瀬、上から行くか?下から行くか?」

「俺はどっちでもいいですよ。そんなに時間かからなければ上からでもいいっすし」

「じゃあ面倒くせーから上から行くぞ。‥あんま誰かに見られるなよ」

「じゃあマスクしていきます」

そんな会話をしていたら、桜井が「え?お前もマスク持ってるの?」なんて棚瀬に聞いていた。そんな質問に棚瀬は「持ってますよー」とあっけらかんと口にする。

まぁ‥そうだわな。棚瀬がこうして俺と一緒に外に出て、上から散歩する機会なんて桜井たちがチームになってからほとんどなかったからな。

棚瀬だって元は俺と同じチームだったんだ。×マークマスクくらい持っていて当然だ。

「あ、でもマスクしてるところ見られるの恥ずかしいので皆さんにはお見せしませんけどね!」

「ニコニコ笑顔で言うことかよ!」

「だって坂さんと同じマスクしてたら皆さんが嫉妬しちゃうと思いまして‥!」

高見沢のツッコミに対して顔を両手で覆い隠して照れているふりをしている棚瀬。もう完全に面白がってやってやがるわコイツ‥

そんなふざけた棚瀬を見やる四人は、あんまり面白くなさそうなツラしては棚瀬をジトーっとした目で睨みつけているわで‥。なんだよコレ、なんで俺がこんなにも野郎共から好かれなくちゃいけねーんだよ。

嫌な顔してこの光景を眺めていたが、ホントに気味が悪くなってきたのでサッサとこの部屋から出ることにした。出て行く俺を見て「あ、待ってよ坂さん!」なんて軽い声で俺を追いかけてくる棚瀬。さて、あの四人は今頃どんな気持ちでどんな会話を続けるのだろうか。

屋上まで続く道のりを歩いている中で、棚瀬がニヤニヤしながら俺を見てくる。

「‥やりたい放題やりやがってテメェ」

「えー?だってあの四人凄く面白くないですかー?もうどんだけ坂さんのこと大好きなんだよ~お前らー!って感じで、見ててイジりたくなっちゃいますもん!」

「またあとでアイツらがうるせーぞ」

「構いません!あの人たちが俺に追いつくことは到底ないと分かってますので」

「だろうな」

こんなくだらない会話をしていれば、あっという間に屋上まで出てきてしまった。棚瀬はというと、さっき取りに行ってたマスクを着けながらこの場所から下を眺めては「ふぅ‥」と小さく息を吐いていた。

‥なんかあんま見慣れねーな、棚瀬のマスク姿。

脚の調子を確認し終わったのか、「いいっすよ」と俺に伝えてくれたので早速隣の建物へと移っていく俺たち。今は昼間だから正直に言って、あんまりこういうことをするのは宜しくないとは思うが、下からだとどうにも現場の状況が上手く見えないし掴めないからな。

上からだとよーーく見えるので、やはりこっちのが俺たちにとっちゃいいからな。

当たり障りない会話を続けつつ、現場付近のビルまでやってこれば下は未だに警察やらが大量発生している状態。ま、そりゃそうだろうけど。

棚瀬と二人でその様子を眺めていれば、彼は「コレ酷いっすねぇ」なんて呟いていた。

「あー‥ちくしょう、あの時の解除コードが今になって分かっても意味ないっていうのに‥」

「解けたのか?」

「えぇ。爆破して、そのあとバタバタしてましたけど悔しくてなんとか解いてやろうと思って解きましたよ。多分、次に爆発物設置した時にはちゃんと解除出来ると思います」

「そうか。なら次にアイツらが出てきた時は期待してるぞ」

「はい。‥‥このままで終わると思うなよ」

突然声のトーンを低くして、すうっと何かを睨み付けた棚瀬。おぉ、コイツをここまで本気にさせるとはな。相当この爆破を食い止められなかったことが悔しかったのだろう。

「どうする棚瀬。お前も次は俺たちと来るか?」

「‥もしかしたら足手まといになるかもしれないっすよ?」

「あの四人よりかはマシだろ」

「またそんなこと言っちゃって~。四人が泣きますよー?」

「もう四人の内二人は泣いてるけどな」

「そうですね、さっき泣いてたばっかですもんね」

さっきまでの真剣な顔はどこへやら。再びヘラッとした態度の元の彼に戻ってしまっていた。

しかし棚瀬が俺たちに着いて来たいと思うなんてな。やはり元々は奴らと俺たちは仲間だっただけに、因縁めいたものがあると思うからコイツだってジッとしてるより暴れたいに決まってる。

その代わり情報伝達してくれる奴が居なくなるのは痛いけど。まぁ、そこらへんはまた棚瀬が上手いことやってくれるとは思うからいいが。

「なぁ、奴らどこに潜伏してると思う?」

「多分地下じゃないっすか?監視カメラとかで追いかけてても、アイツら急に消えるんすよ。なので地下しかないんじゃないかと‥」

「地下か。‥調べてみるか」

「俺がやっておきます」

「あぁ、頼んだ」

バラバラに壊けた二つの建物。

とんだ大損害出しちまったもんだな、俺らも。だが、ニュースを観てる限りではケガ人は一人も居なかったらしいのでそれについてはホッとしている。これで死人が大量に出ていたら、流石にこの仕事を辞めるべきか考えちまうレベルだからな‥

いいのか悪いのかどっちなんやら。

。。。

「ねぇ!棚瀬のあの態度なんなの!それと坂崎も!!」

「なーんか妙に悔しいんだよな~‥。今のチームは俺たちだってーのに、坂崎は棚瀬棚瀬棚瀬ばっかでさぁ」

「俺と鈴木のことなんて目にも入ってないと思いますから大丈夫ですよ、桜井さん」

「そうですよっ。僕たちなんて坂崎さんに頭すら撫でて貰えなかったですし」

四人取り残されたこの部屋で、ベッドに座りながら高見沢たちとお喋り。

なんだろうか‥。つーか俺たち、いつの間にこんなに坂崎のこと大好きになってたんだ?いつから棚瀬に妬くようになった?

改めて考えるとすっげー気持ち悪りぃのは分かってるけど、やっぱり俺や高見沢からしたら棚瀬がめちゃくちゃ羨ましい。だって、坂崎にあんなに‥信頼ってアイツは言われたくないのだろうけど、坂崎は棚瀬のことを信頼しきっている。俺たちとは全く違う。

モヤモヤする‥

「俺たち、坂崎のチームにいる資格ないのかなぁ‥」

「いや、違うぞ桜井!こんな状況だからこそ俺は坂崎にしがみ付く!そして全力で着いて行く!‥棚瀬と同じ扱いになりたいからっ」

「高見沢‥」

「だってさっき嬉しかったじゃん?坂崎が俺たちのことあんなに褒めてくれるなんて‥。飴と鞭とは言うけど、アイツの場合は鞭鞭鞭鞭鞭鞭鞭鞭‥‥あれ、今まで飴が出てきたことがない‥」

「そうだな、やっとさっき小さい飴が貰えた感じだからな」

そんな会話をしていると、吉田も鈴木もおかしかったのかプハッと吹き出しては笑っていた。

「お前ら笑うけど、マジでアイツの恐さ知らねーだろ!?知らないから笑えるんだぞ、正将も太郎も!」

「いえ、もう十分分かってきてますよっ。‥その鞭がいつ僕たちの方に来るかが不安でしょうがないってだけですから」

「鈴木の言う通りっす。坂崎さんの恐さは、毎回桜井さんと高見沢さんがやられてるところ見ただけで伝わってきてますので!」

「おいっ!」

後輩からにも俺らはおちょくられるのか?

ギロッと太郎を見やるも、彼は笑顔で「あ、ごめんなさい桜井さん」と笑ってくるだけ。あれ、いつからこうなってきた‥?なんか立場逆転しそうでこっちも恐ろしいんですけど。

すると高見沢が突然ベッドの上に立ち上がっては叫び始める。

「あ、そうだ!こんなところでウダウダしてる時間はない!おい、体動くかどうか練習しに行くぞ!!」

「お、そうだな。早く体力戻してアイツら捕まえてやろうぜ!」

「はいっ!!俺もアイツらにムカついてきました!いきなりこんな目に遭わせてきやがって‥!」

「僕も絶対にアイツらとっ捕まえてボコボコにしたいです!」

正将が珍しいことを言うので、高見沢が正将を見下ろしながら「おめー、怖いこと言うなぁ」なんてボヤいてたが、当の本人はなぜか目がキラキラしている。

それを見て太郎が若干引いてるが。

‥よし。俺たちの力、見せつけてやろうじゃないか。

このままやられっ放しで済む訳がない!

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